那珂市周辺で高校受験を控えるお子さんをお持ちのご家庭から、「水戸農業高校と那珂高校、うちの子にはどちらが合っているのか」というご相談を、私はこれまで20年以上にわたり茨城県内で塾講師・家庭教師として、そして現在は高校進学アドバイザーとして、数えきれないほど受けてきました。
この二校は那珂市内で隣接するように立地しており、通学圏としても重なる部分が大きい一方で、教育の中身はまったく異なります。那珂高校は普通科として大学進学を軸にした指導を行う学校であり、水戸農業高校は7つの専門学科を持つ実学重視の農業高校です。「なんとなく家から近いから」で選ぶには、あまりにも進路の方向性が違う二校だと感じています。
本記事では、公的機関や複数の学校情報サイトで確認できる最新データをもとに、偏差値・倍率・学科構成・部活動・進路実績を整理しました。ネット上には那珂高校に関する不正確な噂も見られるため、その点についても後述で触れておきます。
那珂高校・水戸農業高校の基本情報
那珂高校は1985年開校、那珂市後台にある県立の普通科高校です。校訓は「誠実・進取・敬愛」で、開校当初からアメリカ・メリーランド州のノーザン高校との交換留学を続けており、2003年からはオーストラリアのクリーランド高校・アサートン高校での留学研修も実施するなど、国際交流に力を入れてきた歴史があります。特色選抜実施校でもあり、ICTを活用した個別指導の充実にも取り組んでいます。
水戸農業高校は那珂市東木倉にある県立の農業高校で、通称「水農(すいのう)」。もともとは水戸市内にあった歴史ある学校で、移転前の校地には現在、茨城県立歴史館が建っています。県内でも水戸第一高校に次ぐ古さを持つ伝統校です。農業科・園芸科・畜産科・食品化学科・農業土木科・農業経済科・生活科学科の7学科体制で、実習を重視したカリキュラムが特徴です。
偏差値・倍率はどれくらい違うのか
複数の学習塾系サイトのデータを突き合わせると、那珂高校(普通科)の偏差値はおおむね47前後、水戸農業高校は全学科でおおむね40〜42程度で推移しています。学科による大きな差は、少なくとも公開データ上は確認できませんでした。「食品化学科だけ突出して高い」といった情報を見かけることがありますが、複数の情報源で裏付けが取れなかったため、本記事では学科間の差は小さいという前提でお伝えします。
倍率についても年度により変動が大きいため、直近の正確な数字は茨城県教育委員会が発表する確定志願者数の資料で必ず確認することをおすすめします。過去の傾向としては、那珂高校は水戸市に近い立地から併願先としても選ばれやすく、安定して倍率が1倍を上回る年が多いです。水戸農業高校は学科ごとの人気差が出やすく、実習内容に興味のある受験生が集中する学科とそうでない学科とで倍率に開きが出る傾向があります。
なお、当日の学力検査でどの程度の得点が必要になるかは学科・年度によって変わるため、目安を知りたい方はこちらの茨城県公立高校 合格点まとめ記事もあわせてご覧いただくと、より具体的なイメージがつかめると思います。
「那珂高校がIT専科高校になる」という噂について
塾で保護者の方からお話をうかがう中で、「那珂高校がIT専門の学校に変わるらしい」という噂を耳にすることがあります。これは、2024年春に友部高校が閉校し、その校舎を活用する形で新設された「茨城県立IT未来高等学校」の話が、地理的に近い那珂高校の話と混同されて広まったものと考えられます。IT未来高等学校と那珂高校はまったく別の学校です。2026年8月現在、茨城県教育委員会および那珂高校の公式サイトでは、那珂高校が普通科であり続けることが明記されており、大規模な学科改編の発表は確認できません。今後の学校再編の動向は変わる可能性もあるため、志望校を検討する際は必ず茨城県教育委員会や各校の公式サイトで最新情報を確認するようにしてください。
学科構成と学びの内容
那珂高校は普通科として、国語・数学・英語などの基礎学力の底上げと、大学進学に向けた探究的な学習に力を入れています。特色選抜も実施しており、部活動や生徒会活動などでの実績を評価する仕組みも整っています。
水戸農業高校の7学科はそれぞれ専門性が明確です。畜産科では実際に飼育している家畜の世話を通じて命の大切さを学び、食品化学科では加工設備を使った製造・分析実習を行います。農業土木科では測量や設計を学び、生活科学科では食や住環境について実践的に学びます。週の授業時間のかなりの部分が実習に充てられており、座学だけでなく「手を動かして学ぶ」ことが同校の一貫した特色です。
部活動の特色
水戸農業高校で特に知られているのが馬術部です。専用の馬場を持ち、関東高校馬術リーグ戦で好成績を収めるなど、公立高校としては全国的にも珍しい活動実績があります。相撲部も伝統があり、そのほか野球部やラグビー部なども活発です。また全生徒が所属する「農業クラブ(FFJ・Future Farmers of Japan)」の活動も特徴的で、平板測量競技会や農業鑑定競技会といった専門技術を競う大会が全国規模で開催されています。
那珂高校は運動部・文化部ともに落ち着いた雰囲気の中で活動しており、剣道部・バスケットボール部・卓球部・弓道部などが継続的に活動しています。長年続く海外交換留学プログラムも、国際的な視野を広げたい生徒にとって大きな魅力の一つです。
学校行事
水戸農業高校最大の行事は「水農祭」で、各学科で育てた農産物や加工品の販売に地域の方が多く訪れます。収穫祭やクラスマッチなど、学びの成果を実感できる行事が学校生活の軸になっています。那珂高校では体育祭・文化祭・修学旅行といった一般的な高校行事に加え、留学生との交流行事があることも特色です。
進路実績
那珂高校の卒業生の進学先としては、常磐大学・茨城キリスト教大学・日本大学などが継続的に確認できます。国公立大学への合格実績も年度によって出ており、地道な学習指導の積み重ねが土台になっています。
水戸農業高校は、専門学科での学びを評価される選抜を活用した進学ルートに強みがあります。東京農業大学や常磐大学など農業系・地域の大学への合格実績があるほか、茨城県立農業大学校への進学や、農業関連企業・食品メーカー・公務員(農業職)などへの就職も多く、専門性を生かした進路が確立されています。就職と進学、どちらの選択肢も現実的に取りやすいのがこの学校の強みです。
まとめ|どちらを選ぶべきか
- 那珂高校:普通科で大学進学を軸に据えたい人、国際交流に関心がある人向け。偏差値の目安はおおむね47前後。
- 水戸農業高校:食・生命・環境に関わる専門技術を早くから学びたい人向け。偏差値の目安は全学科でおおむね40〜42。
- 噂への注意:那珂高校のIT専科化という情報は現時点で確認できていません。最新情報は必ず公式サイトで確認を。
- 得点対策:具体的な合格ラインは年度で変動するため、最新の入試スケジュールや配点情報も事前に確認しておくと安心です。2027年度入試スケジュールの記事もぜひ参考にしてください。
最後に、日々の学習面でのサポートについても触れておきます。通塾が難しいご家庭や、部活動と受験勉強を両立させたい生徒さんには、スキマ時間にプロ講師の授業を繰り返し見返せるスタサプのような映像授業サービスを併用する家庭も年々増えています。志望校の特性に合わせた学習スタイルを見つけることが、後悔のない受験につながります。






