茨城県内で20年以上、塾講師・家庭教師として英語指導に携わり、現在は高校進学アドバイザーとして多くの受験生・保護者の相談を受けています。
今回は「英語長文が苦手」という相談で必ずといっていいほど話題になる、単語帳「ターゲット」シリーズの使い方について、指導経験を踏まえて深掘りしていきます。
茨城県公立高校入試の英語長文、なぜ単語力がカギになるのか
茨城県の公立高校入試の英語は、リスニングや文法問題に加えて長文読解が出題されます。
近年の出題では、長文が450〜500語程度の分量で出されることが多く、出題形式も年度によって大きく変わらない傾向があるといわれています。
茨城県教育委員会が公表している入試結果を見ると、令和6年度に50点台だった英語の平均点は、令和7年度に42.63点まで落ち込みました。要因としては、語彙・文法のレベルが上がったことや、並べ替え問題など後半の設問が難化したことが挙げられています。令和8年度は47.85点まで持ち直したものの、令和6年度の水準にはまだ届いておらず、ここ数年は単語力の差が得点に表れやすい入試が続いているといえそうです。
とくに令和7年度の入試分析では、基礎的な単語でつまずく層と、上位で安定して得点できる層との差が広がる「二極化」が指摘されており、単語帳を使った反復学習で基礎語彙を早い段階から固めておくことが、この差を乗り越えるための有効な対策になります。
20年以上、生徒の答案を見てきた中でとくに多いのが、単語そのものを知らないというよりも「似た形の単語を読み違える」ことによる失点です。
たとえば”quiet”と”quite”のように、綴りが近い単語を混同したり、notやneverといった否定を表す語を読み飛ばしてしまったりすると、単語の意味を知っていても文全体の解釈を誤ってしまいます。
こうした読み違いは、単語を「見た瞬間に意味が浮かぶ」レベルまで繰り返し触れていないと起こりやすく、単語帳を使った反復練習が欠かせないアプローチといえます。
長文の内容は学校生活・環境問題・国際交流など多岐にわたりますが、共通して言えるのは「知らない単語が多いほど、文全体の意味を推測する負担が一気に増える」ということです。
指導の現場でよく見るのは、文法力はそこそこあるのに長文になると急に得点が下がる生徒です。
原因の多くは文法ではなく語彙不足で、1文の中に知らない単語が2つ以上あると、正しく意味を取れなくなるケースが目立ちます。
裏を返せば、語彙力を底上げするだけで長文の得点は着実に伸びていきます。
「ターゲット」シリーズとは?茨城県入試との相性
「ターゲット」は旺文社が出している単語帳シリーズで、高校入試向けには「高校入試 でる順ターゲット 中学英単語1800」が代表的な1冊です。
過去の入試問題を分析して選ばれた単語を、出題頻度の高い順に5つのレベルへ分けて配列している点が特徴で、限られた時間の中で効率よく語彙を増やしたい受験生に向いています。
茨城県の入試問題は標準的な公立高校入試の傾向に沿っているため、特殊な専門単語よりも「教科書レベル〜やや発展的な語彙」を確実に押さえることが得点に直結します。
この点で、頻出度順に基礎〜標準レベルを網羅できるターゲットシリーズは、茨城県入試との相性が良いといえます。
志望校のレベルに応じた取り組み方の目安
5段階のレベルすべてを完璧にしようとすると時間がかかりすぎてしまうため、志望校のレベルに応じて力の入れどころを変えるのがおすすめです。
- まずは平均点前後を目指したい場合:序盤〜中盤のレベルを繰り返し、確実に定着させることを優先しましょう。基礎語彙の抜けをなくすだけでも長文の読みやすさは大きく変わります。
- 水戸第一高等学校や土浦第一高等学校のような上位校を目指す場合:終盤のレベルまで含めて全体を仕上げておくと安心です。これはあくまで指導経験に基づく個人的な目安であり、学校ごとの公式な出題基準ではない点にご留意ください。
元塾講師が教える、ターゲットの正しい使い方
単語帳は「持っているだけ」では成果が出ません。ここでは、実際に生徒に指導してきた使い方を3つのステップで紹介します。
ステップ1:全体像をつかみ、優先順位をつける
最初から1周を完璧に覚えようとせず、まずは1周を軽く通読して、知っている単語・知らない単語を仕分けします。
全部を均等に勉強するのではなく、「知らない単語」に学習時間を集中させることが遠回りを防ぐコツです。
ステップ2:短いサイクルで反復する
人の記憶は一度覚えても時間とともに薄れていきます。
1日で大量に詰め込むより、「50〜100語を1セットにして、数日おきに繰り返し復習する」サイクルを作るほうが定着率は高くなります。
付箋やチェック欄を使い、覚えられていない単語だけを繰り返すのも効果的です。
ステップ3:単語帳の知識を長文読解につなげる
単語帳で覚えた単語は、実際の長文の中で出会って初めて「使える知識」になります。
単語帳での暗記と並行して、過去問や問題集の長文の中に出てきた単語に印をつけ、「単語帳→長文→単語帳」と往復させることで、暗記した単語が入試本番でも思い出しやすくなります。
続けられない日があってもいい:挫折しないための工夫
塾講師として多くの生徒を見てきましたが、単語帳が続かなくなる一番の原因は「毎日同じ量をこなそうとして息切れする」ことです。
- 部活や学校行事で疲れている日は、無理に50語進めようとせず**「今日は10単語だけ見る」**と決めてしまってかまいません。
- 机に向かう気力がない日は、リビングでページをパラパラめくって知っている単語を確認するだけでも1周に数えてよい、というくらいのハードルの低さで十分です。
大切なのは完璧に続けることではなく、単語帳を開く回数そのものを減らさないことです。
内申点(定期テスト)対策とターゲットの役割分担
ここで一つ、誤解しやすいポイントを整理しておきます。
中学校の定期テストは、学校で使っている教科書の内容に沿って出題されるため、定期テストの得点を直接的に伸ばしたいなら、まずは教科書準拠のワークや単語帳で授業内容を固めるのが最優先です。
一方、「ターゲット」は入試での出題頻度順に単語を配列した教材のため、定期テストの得点アップそのものを主目的にするには向いていません。
つまり、内申点を確保するための土台は教科書学習、そこに入試本番で通用する実力を上乗せするためのブースターとしてターゲットを位置づける、という役割分担で考えるのが実態に近いといえます。
とはいえ、ターゲットで語彙力の絶対量が増えれば、初見の英文に対する読解力そのものは底上げされるため、結果的に定期テストの長文問題を読む際にも良い影響が及ぶ場面は少なくありません。あくまで「主役は教科書学習、ターゲットは入試を見据えた上乗せ」という位置づけで取り入れてください。
志望校のレベルに合わせた学習計画を立てる
単語学習は、闇雲に量をこなすよりも「自分の志望校に必要な得点ラインから逆算する」ほうが効率的です。
志望校ごとの目安となる合格点を把握しておくと、どの科目・どの分野にどれくらい時間を割くべきかが見えてきます。
志望校の目安点については、以下の記事で詳しく整理していますので、あわせて参考にしてください。
単語帳だけでは越えられない「長文の壁」
ターゲットを使って語彙力を引き上げると、長文の読みやすさは確実に変わります。
しかし、模試や過去問演習を重ねる中で、「単語の意味は一つひとつわかるのに、文章全体の内容がなぜかつかめない」という壁にぶつかる生徒も少なくありません。
この原因の多くは、単語同士をつなぐ文法・構文のルールが十分に身についていないことにあります。
単語帳による語彙のインプットと、文法・構文の読み解き方の解説は性質の異なる学習なので、単語帳だけで両方をカバーしようとすると時間がかかりすぎてしまいます。
そこで、語彙は単語帳の反復でしっかり固めつつ、長文の読み方・解き方の解説は映像授業でスピーディーに補うという組み合わせを、指導の現場でも提案することがあります。
たとえばスタサプのような映像授業サービスは、教科書の要点をおさらいする基礎講座なら1回5分程度、高校入試対策の解説授業でも15分前後とコマが短く区切られているため、部活で忙しい生徒でもすきま時間に取り入れやすく、単語帳と役割分担させることで学習効率を上げやすくなります。
はじめての方は14日間の無料体験が用意されているので(申し込み方法によって条件が異なるため、詳細は公式サイトでご確認ください)、まずは長文の解説授業だけ試してみるという使い方もおすすめです。
紙の単語帳とデジタル教材、それぞれの強みを活かしながら、自分に合った組み合わせを見つけてみてください。
まとめ
茨城県公立高校入試の英語長文は、語彙力の差がそのまま得点差につながりやすい分野です。
「ターゲット」シリーズは頻出度順という特性上、限られた時間で効率よく語彙を積み上げたい受験生に向いた教材ですが、内申点対策の主役はあくまで教科書学習であり、ターゲットは入試本番に向けたブースターとして位置づけるのが実態に近い使い方です。
大切なのは、単語帳を1周して終わりにせず、短いサイクルでの反復と、実際の長文読解との往復を通じて「使える語彙」に変えていくことです。
続けられない日があっても自分を責めず、ハードルを下げてでも単語帳を開き続けること、そして志望校の目安点も踏まえながら無理のない学習計画を立てていくことが、合格への近道になります。






